運用業務の体制革新。その種が蒔かれたのは、2010年のことだった。
骨子はシステムの運用担当と開発担当の明確な切り分け。
掛け持ちは業務の属人化を招き、切り分ければ双方に効率化を生める。
革新の旗手に名乗りを上げたのは、以下の登場人物のひとり、T.K.だった。

全体最適に向けた挑戦。やるべきことは山積みだった。
運用を引き継ぐ担当者に求められるスキルの明確化、引き継ぎ手順書の作成、運用業務の可視化、
今で言うSLA(Service Level Agreement)の策定、対応人員の確保に必要な固定費の条項を含む運用保守契約内容の策定など・・・。
全システムを対象に業務の標準化を目指す運用設計であったが、各システムの特性を考慮して棲み分けを行い、
最終的には一部のシステムは可変のものとして残した。

改革期間は約1年。この大いなる第一歩が、その後の道を開いた。
J.Y.
ITサービス運用本部 運用3部 部長/2007年4月入社
T.K.
ITサービス運用本部 運用2部 部長/2007年10月入社

運用本部横断で挑む。運用プロセスの標準化・自動化。

ベネッセインフォシェルのITサービス運用本部では、さらなる品質向上・効率化のため、2017年度からプロセス標準化を各部横断で加速させている。ITサービスマネジメントのベストプラクティスを体系化したITIL(Information Technology Infrastructure Library)に則した標準化は、すでに各部共通で進められてきた。インシデント管理や問題管理の解決プロセス群、変更管理や構成管理のコントロールプロセス群などをはじめとする標準化である。そして、さらに業務プロセス改善に対する考え方そのものを、各部最適から全体最適へと根本的にシフトさせたのだ。

たとえばある部における予防施策などが優れた実効性を示していれば、その仕組みやノウハウ、導入ツールなどを横展開する。その鍵が共有力にあることはいうまでもない。各部の代表者が事例を報告し合える仕組みと環境を整備。各部間での徹底共有によって標準化を推進した上で、可変領域も残しながら各業務特性に応じた施策を追加していく。

こうした標準化の動きは、T.K.が旗振り役となったあの最初の改革が礎になっている。言ってみればその第二弾。さらなる改善のための、運用本部をあげての総力戦である。そのT.K.は、今では運用2部の部長となっている。昔を想起しながら、彼は次のように言う。「あの時は自分でSLAをつくったり、各部門のキーマンとの合意形成に奔走したりと大変だった。でも、自ら理想を描き、構想を練って、周囲に伝播しながらひとつのビジネスを丸ごとつくっていくような充実感があった。今回も同じです。運用って地味なイメージがあるけれど、新しいことに挑んで推進し、改善につなげていけるのが当社の運用の面白さ。特に今はその面白さを味わうチャンスが広がっている。巷にはいっぱい“ツール”がありますからね。AIやビッグデータやIoTなどの最新技術を活かして、さらなる改善に挑むことができます」。

T.K.は“ツール”という言葉を使った。最新技術も、ひいては標準化も、それ自体は手段であって目的ではないのだ。そして、全く同じ考えで改善を推進しているのが、運用3部の部長・J.Y.である。「私は自動化を進めているのですが、自動化そのものを目的化してはいけない。手段と目的が転倒すると、おかしなことになる。サービスとしての品質を高めた上で、安定させるために、自動化に取り組んでいるのです」。

J.Y.は継続的な姿勢で慎重に自動化を進めているが、もちろんすでに成果は出始めている。たとえば245万人の会員をもつ通信教育『進研ゼミ』の基幹システムでは、お客様から送られる受講申し込みデータから必要部分だけを自動的に抽出し、マスター登録までを一気通貫できるようにシステムを改訂。ヒューマンエラーのリスクを解消することで品質の安定化を実現でき、圧倒的な業務効率化も図れる。

J.Y.が統括する運用3部が取り扱っているシステムは、いずれも基幹システムだ。サービスに関係する各現場と密なコミュニケーションをとり、課題や困り事を詳細にヒアリングして、解決のためのシステム改善を進めている。J.Y.は言う。「私もメンバーたちも、もっともっとサービスのことを知る必要がある。サービスに寄り添う運営部門になって、サービスの末端まで知り尽くしたい」。サービスに関わる全ての人の業務を詳細に理解してこそ、あるべきシステムが見えてくる。あるべきシステムを実現してこそ、品質の最大化と安定化が可能になる。彼J.Y.は自動化を推進するが、自動化を急がない。それは手段にすぎないのだから。