自動車が日々進化を続ける中、三菱電機は車載機器や自動車機器の開発で、それらを支えています。1988年には、世界で初めて電動パワーステアリングシステムの量産化を成功させ、現在もトップシェアを誇ります。(※1) 独自研究を進め、小型・高出力化を実現し、これまで搭載が困難だった車両重量の大きい車種への搭載やCO2排出削減に貢献しています。これらを実現できたのは、さまざまな知識と経験を有する、技術者の努力の結晶。電動パワーステアリングの研究に挑む社員のインタビューをご紹介します。 ※1:2013年実績 当社調べ
  • 家造坊 勲(左)
    2003年新卒入社。電子機械工学専攻。先端技術総合研究所所属。
    社会に役立つものをつくりたいという想いから、三菱電機に入社。入社以来、電動パワステの制御設計を担当。2019年以降、メカトロニクス技術部機械運動制御グループマネージャーとして活躍。
  • 伊藤 慎一(右)
    2003年新卒入社。機械工学専攻。コンポーネント製造技術センター所属。
    ものづくりをしたく、三菱電機のエンジニア気質に魅力を感じ、入社。 自動車のオルタネータや電動パワステ、冷熱機の圧縮機の構造設計など幅広く経験。

常識にとらわれない、独自開発への挑戦。

家造坊:私は入社以来、電動パワーステアリングシステム(EPS)のモーター制御に取り組んできました。1988年に三菱電機がEPSの量産化に世界で初めて成功。現在においても世界トップシェアを維持しており、世界に誇る代表製品のひとつです。EPSは、従来の油圧式パワーステアリングに対して大幅な燃費改善が可能。そのため、今では新車の60%に搭載されており、今後も市場の拡大が見込まれています。私たちがこの成長分野において業界をリードし続けることができるのは、モーター、回路、制御それぞれに独自の強みを持っているからです。モーターとコントローラーの一体構造で世界最小軽量(発売当時)を達成しています。一体化することによって優れた小型・軽量化を可能にしました。これはモーターやインバーターの開発を自社内で完結できる当社だからこそ実現できること。さらに当社はEPSに限らず、モーター駆動の製品を数多く抱えています。他製品の技術やノウハウを応用できることも、強みのひとつであると言えるでしょう。

社内の技術を結集し、世界初の技術を生み出す。

伊藤:現在は圧縮機の開発を担っていますが、以前はEPSの技術開発に携わっていました。当時(2009年)の私に与えられたミッションは、EPSの体積を半減させること。体積を少し減らすのであれば、既存の技術を突き詰めることで実現できる可能性があります。しかし、半減するとなれば、それだけでは実現不可能。思いつく限りの方法を試しましたが、小型化することはできず、コストも目標値に達成できないという非常に困難な状況の中、試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのがモジュール化という方法でした。EPSのインバーター回路をモジュール化するのは、当時では世界でも初の試み。当然、私たちにもノウハウはありません。そこで私たちは、自身の部署の枠を越えて生産技術センターのパワーモジュール推進部に相談。最終的には福岡にあるパワーデバイス製作所との技術交流を経て、EPSの体積を半減することに成功しました。そして2013年に晴れて世に出すことができました。このように個の力では到底乗り越えられない壁も、社内の技術・ノウハウを用いればブレイクスルーすることができる。常に革新を求められる私たちにとっては非常に心強い環境です。

未来の技術のために、歩みを止めない。

家造坊・伊藤:研究開発部門は、全事業に関わる最先端の技術開発に取り組んでいます。そのため、所内にはさまざまな知見を持ったエンジニアがおり、情報交換が可能です。伊藤のように複数の部門を経験している者も多数。彼らのネットワークをたどれば、容易に欲しい情報を入手することができます。また、当社はエンジニアが主役の会社であり、エンジニアを大切にする風土が根付いています。だから、前を向いて取り組んでいる以上は全力でバックアップしてもらえますし、発言したことは最後まで任せてもらえる。もちろん、任せてもらう以上は期待に応えたいという想いもあります。今後の目標としては、入社以来関わり続けているEPSの分野で、制御技術の中核を担う存在になりたい。そして、EPSのさらなる進化および普及に努めることで、地球環境の改善に貢献したいと考えています。さらには自動運転という来るべき未来にマッチしたステアリングの姿も追求していきたいですね。