三菱電機静岡製作所の機能設計職とは?


~Air To Water(ATW)室外機開発グループリーダーに聞きました~

組織構成

▼ 組織構成は?


静岡製作所で開発・製造している空調機は、ルームエアコン(家庭用空調機)とパッケージエアコン(業務用空調機)に分かれています。
私が開発している製品は、空調機ではなく、Air To Water(ATW)という製品なのですが、空調機で培われたヒートポンプ技術を応用した製品のため、パッケージエアコン製造部に所属しています。

パッケージエアコン製造部の機能設計部門は、他部門に比べても大所帯です。全員が同フロアにいますので、連携して業務を進めています。私が入社した10年前から約3倍に増員されています。それだけ経験者採用が活発な部署でもあります。

課内には3つのグループがあり、ATWの①先行開発、②室外機開発、③室内機・システム開発を担当していますが、私は室外機開発グループリーダーをやっています。

仕事の概要・役割

▼ 仕事の概要


私たちは『機能設計』と呼んでいる業務で、
CADで図面を書くような一般的にイメージされる機械設計の仕事ではなく、
仕様検討やシミュレーションが主な役割で、
例えば、空調性能、冷媒回路の設計や空調運転に関わるアクチュエータ制御の設計などを担当します。
製品開発の最初から終わりまで全部みられることが特徴です。(『構造設計』は、グループ会社に委託。)

・仕様決め:冷媒回路に使っている圧縮機や部品、熱交換器の仕様を決めます。
 例えば、配管の径を何ミリにすれば、冷媒が流れやすくなるかを設計するなど。
・シミュレーション(机上検討):圧縮機を選び、目的別に最適なものを設計していきます。
 その後、実物をつくり、ズレを修正し、精度を上げていきます。

▼ グループリーダーとメンバーの役割は?


・グループリーダー:主に開発工程管理を担当。
 また、週1の開発フォロー会(構造設計・制御(電制)設計含め30名規模)に参加。
 課題認識、品質問題改善、メンバーへの周知など。
・メンバー:各機能の設計責任者を担当。
 構造設計者や制御設計者、品質管理など、多くの関係者を巻き込み、製品開発を推進していく役割を担います。

思い出に残っている仕事

▼思い出に残っている仕事は?


現在も担当しているATWの立ち上げに参加したことです。欧州では、各国政府による省エネルギー・CO2排出量削減政策の推進によって、それまで主流であった燃焼系ボイラによる温水暖房・給湯から、省エネルギー&クリーン熱源であるヒートポンプ室外機に注目が集まっていました。三菱電機は2007年度に、空調機で培ったヒートポンプ技術を活用したATW専用室外機を開発し、ATW事業へ参入しました。

▼ 当時の開発体制は?


機能設計、制御設計、システム設計に分かれていて、それぞれが研究所と連携して技術開発をしていました。はじめに、空気(Air)の部分である室外機を、空調機で培った技術を元に開発して事業参入しましたが、その後水回り(Water)の部分も含めたATWシステムの全てをつくっていくことになり、私自身は機能設計担当として、水回路に必要な機能部品、基盤部分のポンプ、タンクなど、お湯をつくる部分の開発を担当していました。

▼ 苦労した点は?


空気を暖めたり冷やしたりする空調機との違いは、水は空気ほど敏感に動いてくれないということです。空気なら、60℃ぐらいの冷媒があれば、50℃の熱風を出せますが、水の場合ですと、冷媒の温度が水の温度とほぼ同じになってしまうため、目標の性能に対しての制御調整に最も苦労しましたのを覚えています。

また、水関連の部品を扱ったことがなかったので、はじめは素人同然だったこともあり、部品知識から評価方法含め、研究所に協力を仰いで開発を進めました。品質に関しても、基準がないので、評価方法や加速試験も自分たちで考えていかなければならず、手探りな部分も多くあったかと思います。三菱電機として『10年使用しても壊れないものをつくる』という目標を立て、そのための試験の仕組みづくりからやったことは大変でもあり、やりがいがありましたね。

キャリアパス 活かせるスキル

▼ 私のキャリアパス


前職:マッサージチェアの設計
2005年入社~:パッケージエアコン室外機の不具合解析・対策立案を担当
2008年~:新事業グループにてAir To Waterの室外機開発担当
2009年~:室内機開発担当へシフト
2012年~:室外機開発グループリーダーへ

▼ 活かせるスキル・志向


■ひとつの製品を丸ごと担当していた経験
私もマッサージチェアの開発に携わっていた頃は、製品全体の設計を担当していました。そうした経験や製品開発全体を見られる方は、勘所をつかみやすく、活躍しやすいと感じます。

■周りとうまく調整できる方
専門分野に強い人材は社内にいっぱいいますので、知っている人のところに聞きに行くことが大事です。できればその方々を巻き込めると良いですね。また、開発を取りまとめる役割を担うため、他の課の社員たちにも同じ方向で動いてもらえるようなコミュニケーションがとれる方だともっと活躍できると思います。

■語学力のある方
例えば英語力がある方は、製品に現場の声を活かすためのヒアリングに、海外出張へ行く事もあります。また、外国の規格・法規制に関しては、資料なども英語なので、語学力を活かせるシーンは多くあります。ただ、あれば活かせるという話で、私のように、それほど英語が得意でなくても大丈夫です。

※ 役職・記事内容等は、取材当時のものです。