富士ゼロックスが自社の強みと捉えているもののひとつが「言行一致」だ。すなわち、社内で絶えず業務改革を図り、そこでの経験をもとにお客様にリアルなソリューションを提供していこうという、富士ゼロックスならではの思想である。なかでも自社工場での「ものづくり」から得た知見を武器に、製造業のお客様が抱える問題を解決していく取り組みがいま、大きく花開こうとしている。

自ら“ものづくり”を熟知しているからこそ、お客様に提供できる価値がある。

富士ゼロックスは近年、「複合機からの卒業」を経営戦略に掲げ、お客様の経営課題を解決するソリューションビジネスへと事業の軸足を大きくシフトしようとしている。特に注力しているのが製造業向けソリューションビジネスであり、田中と横山はその最前線で活躍している。
田中は現在、ものづくりの現場を知り尽くした“プロフェッショナル・アドバイザー”として、お客様の生産工程の課題を発掘するコンサルタントポジションを務めている。何か決まったパッケージを提案するのではなく、お客様が抱えるあらゆる課題にアプローチし、本質から解決していくことが富士ゼロックスの真髄だと田中は言う。そしてその礎となっているのは、社内の生産改革において、失敗も含めて蓄積されてきたナレッジだ。
「当社は過去、1980年代後半からFA(生産工程の自動化システム)を強力に推進し、鈴鹿工場の全自動化を図ったことがあります。当時、私は自動搬送や自動倉庫などのシステム開発に関わりましたが、結果としてその取り組みは失敗に終わり、1990年代前半には工場自動化から撤退することに。なぜ失敗したのかと言えば、プロセスの無駄が取り除かれていない状態で、ただシステムだけで自動化しようとしていたんですね。それでは何の付加価値も生まれない。以降、その反省を活かして、QC(品質管理)やIE(生産工学)の考え方を徹底的に学び、最適な“ものづくり”のあり方を追究してきました。かつての当社のように、まだまだ無駄を抱えている製造業のお客様はたくさんいらっしゃると思いますし、そこに我々自身が身をもって経験してきたことをお伝えしていきたいのです。」
たとえば昨今、製造業の現場ではIoTを駆使した「見える化」が重要なコンセプトになっており、さまざまなITベンダーがそのためのソリューションを提供している。しかし、大切なのは「見える化」された後の行動だと田中は言う。
「問題が発覚した時、どのような行動をとって解決を図るべきか。そこまできちんとプロセスがデザインされていなければ意味はありません。“ものづくり”における無駄を見抜き、形になるところまで最適化できるのは、現場を熟知した我々だから果たせることであり、おそらくITベンダーでは提供できない価値だと考えています。」

日本が抱える社会課題を解決し、世界でモデルとなるソリューションを。

そして、田中と連携しながら全国各地の製造業に向けてソリューションの提案営業に奮闘しているのが横山だ。
「製造業のお客様の間で、富士ゼロックスのソリューションの評判は徐々に高まっています。まず我々がお客様とリレーションを築いて生産現場を視察させていただき、田中さんをはじめとするプロフェッショナル・アドバイザー部の方々の協力を仰ぎながらお客様の課題を抽出し、当社の強みとマッチングさせて解決策を企画提案していく。そんな営業を日々推進しています。」
最近、製造業のお客様からはIoTに関する引き合いが多いとのことだが、IoTはあくまでも手段であり、そもそもお客様が解決すべき問題は何かを浮き彫りにし、整理することがまず重要だと語る横山。
「問題が明らかになれば、その解決策をお客様に実感していただくために富士ゼロックスの工場にもよくお招きしています。お客様の経営層の方々に我々のこれまでの経験や課題とともに“言行一致”の現場をご覧いただくと、『当社がやりたいことはこれだ』とすぐに納得していただける。そんな時はとても気持ちが昂りますね。」
田中も横山も、このソリューションビジネスに大きな手応えを感じているという。田中は、自らの仕事の意義をこう語る。
「地方のお客様の工場に赴く機会も多いのですが、少子化で若い人材が集まらず、かつベテランのスタッフの方々が定年で次々と退職され、重要な暗黙知がどんどん失われているのが実情です。このままでは、日本のものづくりは大変なことになる。暗黙知を形式知として『見える化』するのは我々の得意分野であり、それを踏まえてIoTなどで真の自動化を図るソリューションをお客様に提案すれば、少子高齢化という日本が抱える社会課題の解決にもつながっていきます。」
横山も、このソリューションビジネスを通して日本の製造業の変革をリードしていきたいと意気込む。
「少子高齢化が進み、国として成熟しつつある日本の将来がどうなるのか、世界から注目されています。そんななか、IoTやAIなどのテクノロジーを駆使して、少ない労働力でも品質の高い“ものづくり”ができる新たなモデルを示せれば、こらから日本と同じような道をたどる国々から、あるべき製造業の在り方としてベンチマーク先となる。ぜひ大きな成果を上げ、ここで確立されたソリューションを世界に展開していきたいですね。」

生産技術も“モノ”から“コト”へ。そこから新たなビジネスを創出していく。

「言行一致」のベースとなる自社内での生産技術も、大胆なチャレンジを繰り広げている。その原動力となっているのは、この部門を率いる岩瀬が持つ危機感だ。
岩瀬は富士フイルムからの転籍者だ。過去には富士フイルムの大規模な構造改革に携わり、事業の収束を経験した。そんな経験を二度と味わいたくない、という気持ちが彼を奮い立たせている。
「いま当社の主力製品である複合機は、すでにハードとして成熟し、今後おそらく市場が大きく伸びていくというものではありません。しかし、今提案しているSmart Work Gatewayに代表される“コト”はこれから伸びる領域です。同様に我々の生産技術の価値が下がっているわけではない。ならば、その技術を駆使して“モノ”ではなく“コト”を創り出し、我々自身で新しい市場を開拓していきたいのです。モノには必ず寿命があり、富士フイルムではそれがあまりに急峻に訪れましたが、富士ゼロックスは利益も出ていて十分な体力がある。この間にぜひメンバーのマインドを変えていきたいと考えています。」
ここ数年、生産技術部門では先行技術開発にも力を入れており、たとえば光による高度な3D画像認識技術など、他業種にも展開できる生産技術も続々と開発している。さらに最近、IoTなどの先進技術に取り組む専門チームを立ち上げ、キャリア入社者を積極的にアサインしているという。こうして生産技術部門から「言行一致」の新たな事例を創出し、製造業向けのソリューションを手がける事業部ともいっそう連携を図っていきたいと岩瀬は言う。
「営業の方と同席して、お客様とお話しさせて頂く機会がありますが、メンバーたちにもどんどん会社の外に出ろと発破をかけています。積極的にソリューション営業のスタッフと同行するような機会を得れば、社外の人脈も広がり、新しいビジネスにつながるチャンスもきっと訪れる。これから富士ゼロックスの生産技術部門は、単なる社内の開発を担当するだけでなく、自らダイナミックに社会と関わっていくエンジニア集団へと変貌を遂げていく。未知の技術領域にも果敢にチャレンジしていく方針であり、こうした我々の取り組みに可能性を感じる方がいらっしゃれば、ぜひ仲間になっていただきたいですね。」
こうして社内が一丸となり、富士ゼロックスだからこそ提供できるソリューションを追い求めて、「言行一致」はさらなる進化を続けている。

※記載されている所属部署やプロジェクトはインタビュー当時のものとなります。