独自の事業モデルで部品調達を革新

今から30~40年前、金型メーカーの設計者にとって、金型製造用の部品を注文するのは、
たとえ部品1つであっても大変な手間とコストのかかる仕事でした。
まず、1品ずつ図面を作成し、国内に散在する小規模の部品メーカーに注文を入れて、価格や納期を交渉します。納期は2週間から4週間。
部品が納品されても、受入検査の図面との照合で、寸法違いなどによる作り直しも頻繁に発生していました。

このように、部品の調達は長い納期を必要とし、さらに発注から製造までに多大な人件費がかかりました。
また、1品ずつの受注生産であることから、
従来の金型部品やFA(自動化)部品などの精密機械工業部品の調達構造は、非効率・高コスト・長納期であったと言えます。

ミスミの事業モデルは、この部品調達に大きな革新をもたらしました。
まずミスミの協力メーカーとして日本全国に散在する小規模部品メーカーとの関係を築き、その上でカタログによる販売を開始しました。
そして、従来は特注品であった商品を「標準化」してカタログに掲載し、同時に、
部品1つでも通常は3日、早ければ1日で出荷する「短納期一個流し」を実現しました。
「標準化」と「短納期一個流し」という2つの考え方は、同一の生産過程においては矛盾するものです。
しかし、ミスミの事業モデルは、この2つの矛盾する競争優位性を両立させています。

また、お客さまの発注業務においても、大きな変革をもたらしました。
ミスミのカタログでは、部品の材料や寸法を一覧表から選ぶだけで発注できます。
このため、発注する設計者が部品1つひとつの図面を作成して注文する方法に比べ、時間を大幅に短縮することができます。
また、購入量に応じた割引価格も掲載しており、価格交渉などの手間もかかりません。

お客さまが選んだ材料や寸法の番号がそのまま部品番号となり、ミスミの受注センターを通して部品メーカーの生産現場に届きます。
部品メーカーは、この部品番号を見るだけで、何を生産するかがわかるようになり、効率・低コスト・短期化を実現しているのです。

「半製品」で実現する高品質・低コスト・短納期

ミスミのカタログで扱う商品は17万タイプ、アイテム総数は実に800「垓(がい)」にものぼります。
「垓(がい)」という単位は、1兆の800億倍で、星の数の表現に使われるほどの膨大な量です。
これほどの豊富な商品バリエーションを、在庫を最小限に抑えながら、どのようにして短納期でお届けするのか。
そのカギは「半製品」にあります。ミスミは、製作過程の部品を「半製品」として在庫しておき、
お客さまの注文に応じて最終商品に仕上げています。

この「半製品」は、例えばミスミグループの大規模な生産拠点であるベトナム工場で大量生産されます。
それによって世界最適地生産や量産規模効果といったメリットが生み出される一方で、
消費地の最終仕上げ工場では、小ロット生産、短納期、最小在庫といったメリットを生み出します。
こうした方法の組み合せによって、たとえ部品1個でも、
高品質(Quality)、低コスト(Cost)、短納期(Time)でお届けできる「ミスミQCTモデル」が実現されています。

このようにミスミの強みは、「標準化」したオリジナル商品群によって高マージンを実現していること、
商品のほとんどをミスミブランドとして販売していること、「短納期一個流し」による時間戦略を早期から導入してきたこと、
さらには、極めて豊富な商品アイテム数にあります。

「拠点展開」から「市場浸透」へと進む海外展開

現在、世界主要国に、営業拠点50拠点、配送センター13拠点、生産拠点19拠点まで海外拠点を拡大。
30種類の現地語・現地通貨によるカタログを発行しています。
2001年度のグローバル市場における営業拠点は8拠点、現地語カタログは4種類でしたので、
グローバル展開の進捗の程がお分かりいただけるのではないでしょうか。

2007年度までに進出先での「ミスミQCTモデル」確立のための拠点はほぼ整い、
2008年度からは市場の浸透に向けた打ち手の強化に取り組んできました。
海外での営業・配送センター・生産の拠点展開を通じて経験したことは、グローバル市場には
日本とまったく違うスピード感や新たな競合相手の存在など、激しい競争環境があるということです。

グローバル市場で競争力を高めるためには、現地の顧客ニーズに合った商品を開発し、
現地での商品調達を進めてコスト競争力を強化するとともに、短納期に対応した商品数を拡大することが不可欠です。

今後、現地生産、現地調達を加速し、国ごとに「ミスミQCTモデル」を浸透させるとともに、
海外売上比率50%を目指して、世界の各地で打ち手を強化していきます。