三菱電機は研究開発や設備への投資を強化すると同時に、知的財産戦略を推進。2年連続、全業種における特許資産規模ランキング1位を獲得しています。(※1)平成29年度 全国発明表彰にて、当社の研究員が「朝日新聞社賞」を受賞。(※2)受賞に至った経緯と、日々の研究への取り組みをご紹介します。
※1「パテント・リザルト全業種特許資産規模ランキング2016」
※2 受賞テーマ「回転電機の偏心推定方法と偏心推定システムの発明」
  • 米谷 晴之(左)
    1989年新卒入社。工学博士。電気工学専攻。
    動力推進モータ技術グループ主席技師長。
    入社以来、回転機、動力エネルギー等、電機エネルギー関連の研究を幅広く担当。
  • 吉桑 義雄(右)
    1994年新卒入社。工学博士。機械工学専攻。
    電気システム技術部、メカトロニクス技術部のグループマネージャーを経て、2015年より現職の自動運転システムグループマネージャー。

世の中を進化させる。エンジニアとしての使命。

吉桑:特許取得件数、国内第1位(2017年)、特許資産規模ランキングにおいてもトップ(2016年)を走る三菱電機には、特許の出願を奨励する風土が古くから定着。特許や論文を書くことも、私たちエンジニアの重要な仕事として組み込まれています。そういった背景もあり、私も米谷も入社以来数多くの特許を書いてきました。研究開発した成果を製品化させ、世の中に出すために、特許出願には優先度高く取り組んでいます。もちろん、特許を取るために研究開発をしているわけではありません。自身の研究開発によってほんの少しでも早く世の中を進化させることができるかもしれない。それこそが私たちの使命であり、そこに関われた実感を得られたときに大きなやりがいを感じます。

長く業界内で課題だった、静けさと省エネの両立。

吉桑:私たちが取り組んだ「回転電機(モーター)の偏心推定方法と偏心推定システムの発明」が平成29年度 全国発明表彰「朝日新聞社賞」を受賞しました。これはモーターの構成要素である巻線を偏心推定センサとして活用し、高精度かつ短時間でモーターの回転子位置を推定する手法です。この発明によって偏心がほぼゼロのモーターの量産化が可能になりました。私たちがこのテーマに取り組んだのは、家庭で使用される換気扇用モーターの省エネ化と低騒音化を実現するためです。家庭用換気扇は24時間稼働するため、省エネかつ静かでなければなりません。しかし、両者はトレードオフの関係にあり、その両立は非常に困難です。コストをかければ両立は不可能ではありませんが、換気扇用モーターは年間100万台も生産されるもの。部品を増やして組み立ての手間をかけることはできません。量産化がゴールにある以上、ムダのない方法で実現する必要がありました。

朝日新聞社賞受賞「回転電機の偏心推定方法と偏心推定システムの発明」
モーター(回転電機)の製造工程において、電圧を活用した測定技術でモーターの軸となる回転子を短時間かつ高精度にモーター中心部に位置決めする技術を発明。モーターの効率を 3%向上かつ体積を15%減少させるとともに、位置決めにかかる測定時間を0.1秒に短縮し、より高効率のモーターの量産を実現。

技術の壁を乗り越え、より良い社会を実現する。

米谷:モーターのエネルギーロスや振動・騒音の要因となっているのは軸ずれです。現状発生している数ミクロンレベルの軸ずれを、1/10以下に抑えることができれば、理論的には両立が可能です。しかし、それはもはや神の領域。そんな不可能に近いレベルの技術を、結果として実現できたのは、たくさんのエンジニアや組織の協力があったからこそ。例えば、私の専門は電気分野で、吉桑は振動分野。異なる視点からアイデアを出し合えたからこそ、突破口を見出せた。さらに生産技術や設計技術の融合があってこそ、発想を具現化することができました。生産技術センターや工場とも密に連携をとり、三菱電機の総力を集結させたからこそ、モーターの歴史を変える偉業を成し遂げることができたのではないでしょうか。モーターが使用する総電力は、国内消費電力の1/2を占めると言われています。今回の技術を他分野のモーターにも応用し、海外に展開できれば、世界の電力消費を劇的に削減できる。地球環境のために私たちにできることは、まだまだたくさんあります。