大学院の応用情報科学研究科修士課程で無線通信を探究し、三菱電機に入社。
情報技術総合研究所、系統変電システム製作所を経て、2016年4月から現職に就く。
この間、ほぼ一貫してスマートメーターシステムの開発・導入プロジェクトに携わってきた。

スマートメーターシステムで先駆けて、国内トップクラスのシェアを獲得

情報通信技術を活用した電力システムの開発・提供が、電力ICTセンターのミッションです。この10年間で事業規模を10倍に拡大するほどダイナミックな成長を続けており、日本はもろちん、世界の電力業界から注目を集めています。

ひとつの要因が、スマートメーターシステムへの取り組みです。2010年以降、全国で旧来の電力計からスマートメーターへの切り替えが進むなか、私たちは、スマートメーターと電力会社のセンターを結んで自動検針や遠隔制御を実現するシステムを先駆けて開発・導入。国内トップクラスのシェアを占めています。

具体的には、アドホック(マルチホップ)通信を利用し、各メーターの通信ユニットを相互に結ぶと同時に、全体を親機が束ねる無線LANを構築。ローコストで効率よくデータを収集したうえで、上位のセンターシステムとやりとりする仕組みです。

親機1台あたり子機は1,000台ほど。それが数多くつながってWANを形成し、何百万・何千万戸にものぼる電力会社のエリアを全部カバーするのです。これほど広域で使われているマルチホップはおそらく初めてで、最大規模の実用化事例だと自負しています。

アジアや中近東の国々が、私たちの技術に熱い目を注いでいる

現在は、アジアや中近東の発展途上国へ展開していくフェーズに入っています。私も毎月1回のペースで海外に出張。受注に向けて、技術面での提案活動に力を注いでいます。日欧米の有力メーカーが競い合うなか、三菱電機が評価されているのは、欧米にはないレベルの大規模マルチホップを日本で導入。高いシェアを有すると同時に、順調にデータを収集している事実です。

私は入社後、マルチホップの研究段階から参画。開発・導入プロジェクトでは、通信系のリーダーを務めました。いちばんの難関は、いかに大規模な接続を保ちつつ、データ収集の信頼性を高めるか。家の前に車が停まっただけでも通信が切れたりするため、さまざまなシーンを模擬して試験をして、フィールドでも検証。何があっても、メーターが自律的に迂回ルートを見出し、確実にデータを伝送できるよう、苦労を重ねました。

それだけに、大規模かつ高収集率という実績が、海外でも広く認知されているのは嬉しいですね。特に、まだ構築した途上国はないため、デモシステムを動かして見せると、非常に注目されますね。自分たちがつくったものがいい結果を出して、海外のお客様に認められるシーンを目の当たりにできるわけで、楽しくやりがいを実感しています。

三菱電機なら多彩な拠点の多才な技術者と連携できる

電力ICTセンターには、いろいろな工学のバックボーンを持つエンジニアが揃っています。電気・電子、通信、情報等をはじめ、キャリア入社の若手には業務系のSE出身者もいます。

神戸の電力システム製作所、伊丹のコミュニケーションネットワーク製作所、大船の情報技術総合研究所など、関連する部署の多才な技術者と意見・情報を交換しながら業務を推進できるのも恵まれていますね。それも、役職や年齢・経歴を意識せず、誰とでもコミュニケーションを取りやすい環境なので、分からなかったり、困ったりといった問題があっても、必ずその道のプロが見つかるし、気軽に質問できて教えてもらえます。視野を拡げながら豊かに成長できる場だと肌で感じています。

私自身、当面は海外展開がテーマですが、アドホックは、基地局がなくても端末だけで自律的につながる、まさにIoTに適した通信技術だけに、発送電や配電などのシステムにも応用していきたい。さらに次世代システム開発のプロジェクトマネージャーを目指そうと、キャリアイメージを描いています。