モノづくりの“フロントランナー”ともいうべき三菱電機が、
戦略事業のひとつに数える空調冷熱システム事業。
市場規模は約11兆円、年5〜6%の成長率で伸びている。
このグローバルに成長する巨大市場でチャレンジする機会を
掴み取ったエンジニアたちが自らの転職を振り返ってくれました。


Profile

※ ATW(Air to Water)=ヒートポンプ技術を応用した温水暖房システム


はじめに
転職活動前の三菱電機の印象について

「アイデアを形にしてユーザーの満足につなげる技術力やデザイン力に感心した」

漆 畑 : 以前は競合他社で働いていたので、当時自分が担当していたエコキュートの分野で三菱電機の市場占有率が高いことや、いつも他社に先駆けて新しい技術を開発するメーカーであることは知っていました。それに、小学校も静岡製作所の近くにあって、工場見学に訪れたこともあります。昔から身近にあった会社ですね。

佐 藤 : 私も漆畑さんの印象に近いです。前職は、ルームエアコンの設計だったのですが、競合製品を調査する機会がありました。三菱電機の製品には、以前の会社では考えつかないようなアイデアがいくつも取り入れられていました。その斬新さや、アイデアを形にしてユーザーの満足につなげる技術力やデザイン力に感心した記憶があります。利根川さんはどうでしたか?

利根川 : すごく大雑把なイメージですが、「大手総合電機メーカー」という印象が強かったです。それこそ家電から人工衛星まで、手広くいろいろな事業分野に取り組んでいる。それでいて得意不得意があるわけでなく、各分野でそれなりのマーケットシェアを獲得している。幅広い分野でモノづくり企業としての存在感を示しながら、地道に手堅く業績を伸ばしている大手総合電機メーカーというイメージが一番強かったですね。


きっかけ
転職活動を始めた経緯について

「新製品の開発より目先の利益を追求することに一生懸命で、職場全体に閉塞感が漂い始めた」

佐 藤 : 学生の頃から地球環境問題や地球温暖化といったテーマについて興味を持ち、ゼミでもそういった研究をしていたので、卒業後はその分野の仕事に就きたいと考えていました。前職を受けたのは、環境負荷低減に大きな影響を及ぼす空調機器の設計に携わることができるとのお話からでした。
実際に勤めてみると、営業や開発などの上の人同士が決めた仕様通りに設計する業務でした。仕事自体はすごく好きでやっていたんですけど、職場の仕組みとか、仕事の進め方が微妙だったので、「ずっとこういう感じなのかなあ」と思ったら自分の将来が不安になってきて、転職を考え始めました。

利根川 : 私の場合、直接のきっかけは転勤の内示でした。でも、以前から職場の仕組みとか、仕事の進め方に不満があったので、その点では佐藤君とまったく変わりません。そもそも私が大学を卒業して家電メーカーに就職したのは、人の暮らしの役に立つような身近な製品づくりに携わりたいと考えたから。「この製品、俺がつくったんだよ」と、人に胸を張って言えるような仕事がしたかったからです。
ところが、任されたはずの仕事は、一から十まで上層部が決めていました。自分の意見や考えがどれほど合理的で効果的だったとしても、反映されることはありません。これでは、人に胸なんか張れません。
そうしたヒエラルキーの会社でやらされるトップダウンの仕事に、転勤に応じてまで続けたいと思うほど魅力が感じられなかったので、これを機に思い切って別の環境で仕事をしてみて、自分の可能性を広げていこうかなって思ったんですよね。

佐 藤 : 漆畑さんはどうして転職を?

漆 畑 : 僕も似たような理由だね。前の職場が新製品の開発より目先の利益を追求することに一生懸命で、職場全体に閉塞感が漂い始めたから、会社の先行きに不安を感じたんだ。確かに会社は慈善事業をやっているわけじゃないから、利益を追求するためにコストダウンに力を入れるのは当然。でも、四六時中板金の厚みをもうコンマ1ミリ落として数十円、数百円、原価を削るといった仕事ばかりになると、何のために技術者になったのかわからなくなってくるし、「まだ世の中にはない製品を生み出すことで業績アップを目指す。」といった前向きな取り組みがないと気持ちは萎える。そんな状態が続いたので最終的には「この会社、大丈夫か?」となってしまったんだよね。


決め手
三菱電機のどこに魅力を感じたのか

「成長市場である空調冷熱分野で世界に挑む三菱電機の、モノづくり企業としての勢い」

漆 畑 : だから余計、成長市場である空調冷熱分野で世界に挑む三菱電機のモノづくり企業としての勢いや、そのために僕のスキルを必要とする採用意欲に心動かされた。ただ、当時の僕は34歳。それなりの年齢での転職だったので、前職の担当だったエコキュートからATW(Air to Water)システムの担当に変わるという点でも不安があった。でも、面接官が「この人、すごいな」って感心するくらいできる人で、そういう人達が側にいて、困ったときには教えを請うことができる環境なら、自分でも大丈夫だろうと確信が持てたので、この会社で働きたいと思ったんだよね。実際、経験者採用であっても仕事に慣れるまでは先輩がサポート役についてくれたし、わからないことも周囲の人間に聞けば大抵解決できてるよ。

佐 藤 : その感覚、わかります。僕も面接で話した人が豊富な知識とスキルをお持ちの方で、尊敬に値するというか、頼り甲斐があるというか。

漆 畑 : 佐藤君は前職もエアコンだっけ?

佐 藤 : はい。募集要項を見て同じような職務内容だったので、前職のキャリアが生かせるなと思って応募してみると、面接の場でもっと上流工程の、しかも先行開発に携わることができるということを知りました。以前から自分のアイデアで勝負したいという思いが強かったので、迷いはありませんでした。

利根川 : 私は、ビジネスユニットがものすごくしっかりしている点に魅力を感じました。仕事の内容と目的が明瞭で、各工程にプロフェッショナルが存在する。当然、各人の担当業務や成果物が明確なので、仕事にメリハリと達成感があります。技術者にとってやりがいのある職場だと思いました。前の会社はその境界が曖昧で、チームや個々の役割分担が不明瞭だった分、何のために仕事しているのかわからないことが多かった。個人的には最後までモチベーションが高まることはなかったです。


入社後
入社後の環境は

「それぞれの分野にエキスパートが存在し、フォローしてもらえる環境が整っていた」

漆 畑 : ATW(Air to Water)システムの開発試験を担当することで、成長著しい空調冷熱システムの海外市場に挑戦する機会を得られ、やりがいを感じています。前職は国内市場だけだったからね。今は、もちろん僕だけじゃなく、みんなでATWに取り組む中で、市場で受け入れられるものの考え方・技術だとかは営業や設計の担当業務だったりするかも知れないけど、不具合のない、信頼性が高い製品を世に送り出すというところが、カッコよく言えば、僕のミッションだと思っている。

利根川 : 私は三菱電機に入社してからは、自分がやりたいことを普通にやらせてもらっています。例えば、筐体の出っ張りは、こういった材料というか、こういった板厚採用してみてはどうか、といった自分の考えや意見に基づいて設計を進めることができると言うことです。毎日忙しいですが、私はこうした職場環境を手に入れるために転職したので、心から満足しています。

佐 藤 : 利根川さん、前職は生産技術でしたっけ。職種が設計に変わることについて不安はありませんでしたか?

利根川 : 無かったといえば嘘になりますね(笑)。でも、開発の上流工程にステップアップするチャンスだったし、それぞれの分野にエキスパートが存在し、フォローしてもらえる環境が整っていたから、後は自分が勉強するだけと、覚悟を決めました。佐藤君は?

佐 藤 : 好きなように未来の機種のことを考えられるので、それはもう毎日がすごく楽しくて。何もないところから考える製品もありますし、今ある機種をマイナーチェンジしていくかというところを考えるのもうちの部署。とても忙しいですが、転職して良かったと思っています。

漆 畑 : ところでみんなは、今後の目標ってある?

利根川 : 私は自分が主担当となって、一つの製品をつくり上げて、それがテレビCMなどで紹介されるようになって、そのCMを子どもと一緒に見ながら、「これ、父ちゃんがやったんだよ」と言えるようになることが目標ですね。

漆 畑 : それ、たぶん、僕も面接で言った(笑)。その上で僕は、どうせやるならATWシステムを世界のトップブランドに育て上げたい。この会社には、その目標を達成するだけの力があると思っているし、そうしたやりがいを感じながら日々の業務に取り組めることが、三菱電機で働くことの価値だと思っているので。

佐 藤 : 今後・・ですか。やっぱり、さっきも言いましたけどエアコンの先行開発を通して、地球温暖化対策の一助になることです。自分の技術で、性能のいい効率的な、しかもカッコよくて、世の中に普及する、そういうエアコンをどんどん開発して、CO2の排出量削減にしっかりと貢献したい。今は、それができる会社のそれができるポジションにいるので、諦めずに夢を追いかけたいと思います。

※ 役職・記事内容等は、取材当時のものです。