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- 「静かな超音速機」をつくる ~D-SENDプロジェクト~


D-SENDは、Drop test for Simplified Evaluation of Non-symmetrically Distributed sonic boom(低ソニックブーム設計概念実証)の略。次世代の超音速旅客機実現を目指して、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)が推進している最先端の航空技術研究プロジェクトだ。
JAXAが空力形状と誘導制御に関する設計を、その他の設計および製造をSUBARUが担当した第2フェーズ試験(D-SEND#2)は、「低ソニックブーム設計概念を適用した試験機を、気球からの落下により超音速で飛行させ、ソニックブームを計測して設計概念を実証する」という目的のもと、スウェーデンの実験場で行われた。
2013年8月の第1回は失敗、翌14年は気象条件が整わず延期。そして2015年7月24日、満を持して第3回を実施。世界で初めて、低ソニックブーム設計技術の飛行実証に成功した。
宇宙往還システム、成層圏飛行船、静粛超音速機…。
この3つ、実はいずれも、私たちSUBARUがJAXAからプライムメーカー(主契約者)として開発・製造を担当した「先進技術研究のための無人機」です。
宇宙往還システム、つまり、日の丸スペースシャトルの実験として「HSFD:高速飛行実証」。通信・放送・地球観測などに利用する成層圏飛行船の実現に向けた「定点滞空試験機」。そして静粛超音速機への取り組みが今回手がけた「D-SEND#2試験機」です。
無人機は「空飛ぶロボット」と呼ばれるように、人が乗って操縦できないだけに、有人機以上に高度な制御システムが求められます。コンピュータと通信ネットワークを駆使して地上から管制し、自動操縦を確実に機能させる。小さな機体のなかに、人の頭脳に代わるコンピュータや精密なメカニズムを組み込み、飛行を的確に制御しつつ、万一のトラブルに備える…など、電子・電気、機械、航空、宇宙、材料、情報等の工学をハイブリッドした技術の結晶と言えるでしょう。
戦後いち早く、日本初の国産ジェット機「T-1中等ジェット練習機」を生み出すなど、中島飛行機のベンチャーのDNAを受け継ぎ、空の技術革新に挑み続けてきた私たちは、無人機の分野でも半世紀近く前から研究開発にチャレンジ。JAXAのプロジェクトをはじめ数々の成果で先駆け、今日では「日本の無人機のリーディングメーカー」として、世界の航空業界から広く認められています。
JAXAが空力形状と誘導制御に関する設計を、その他の設計および製造をSUBARUが担当した第2フェーズ試験(D-SEND#2)は、「低ソニックブーム設計概念を適用した試験機を、気球からの落下により超音速で飛行させ、ソニックブームを計測して設計概念を実証する」という目的のもと、スウェーデンの実験場で行われた。
2013年8月の第1回は失敗、翌14年は気象条件が整わず延期。そして2015年7月24日、満を持して第3回を実施。世界で初めて、低ソニックブーム設計技術の飛行実証に成功した。
宇宙往還システム、成層圏飛行船、静粛超音速機…。
この3つ、実はいずれも、私たちSUBARUがJAXAからプライムメーカー(主契約者)として開発・製造を担当した「先進技術研究のための無人機」です。
宇宙往還システム、つまり、日の丸スペースシャトルの実験として「HSFD:高速飛行実証」。通信・放送・地球観測などに利用する成層圏飛行船の実現に向けた「定点滞空試験機」。そして静粛超音速機への取り組みが今回手がけた「D-SEND#2試験機」です。
無人機は「空飛ぶロボット」と呼ばれるように、人が乗って操縦できないだけに、有人機以上に高度な制御システムが求められます。コンピュータと通信ネットワークを駆使して地上から管制し、自動操縦を確実に機能させる。小さな機体のなかに、人の頭脳に代わるコンピュータや精密なメカニズムを組み込み、飛行を的確に制御しつつ、万一のトラブルに備える…など、電子・電気、機械、航空、宇宙、材料、情報等の工学をハイブリッドした技術の結晶と言えるでしょう。
戦後いち早く、日本初の国産ジェット機「T-1中等ジェット練習機」を生み出すなど、中島飛行機のベンチャーのDNAを受け継ぎ、空の技術革新に挑み続けてきた私たちは、無人機の分野でも半世紀近く前から研究開発にチャレンジ。JAXAのプロジェクトをはじめ数々の成果で先駆け、今日では「日本の無人機のリーディングメーカー」として、世界の航空業界から広く認められています。

『もっと速く空を飛びたい。』
例えば日本からアメリカまで、太平洋を4~5時間で行き来できたら…といった超高速飛行へのニーズは根強く、世界中で次世代超音速旅客機の研究が進められています。特にソニックブームの低減と燃費の改善、つまり静かで、運航コストの低い、人にも環境にもやさしい超音速機の実現が、コンコルドの轍を踏まないための鍵を握っています。
D-SENDは、この静かな超音速機の実現に直結するプロジェクトで、試験データは今年のICAO(国際民間航空機関)総会に報告されます。
ソニックブームは主に機体の先端と後端から出る衝撃波ですが、D-SEND#2では世界で初めて、この2つの衝撃波を同時に低減できることを実証。しかも、JAXAでは「仮に今回の結果をコンコルドに適用した場合、ソニックブームはおよそ1/2に低減可能。50人規模の小型超音速旅客機に適用した場合には、コンコルドの1/4に低減可能」と成果をまとめています。
当然、超音速旅客機のソニックブームに関する国際基準策定に向けて、D-SEND#2がベンチマークとなるのは確実。わが国が国際基準づくりのイニシアチブを握れるわけで、世界の航空宇宙産業の発展と地球環境保全、双方に貢献できます。今後の、国際協調による超音速旅客機の実用化でも、優位なポジションに立てることでしょう。
こうした観点からも、SUBARUがプライムメーカーを務めたD-SEND#2は、きわめて重要な意義を持つ国家プロジェクトであると、私たちは誇りに思っています。
例えば日本からアメリカまで、太平洋を4~5時間で行き来できたら…といった超高速飛行へのニーズは根強く、世界中で次世代超音速旅客機の研究が進められています。特にソニックブームの低減と燃費の改善、つまり静かで、運航コストの低い、人にも環境にもやさしい超音速機の実現が、コンコルドの轍を踏まないための鍵を握っています。
D-SENDは、この静かな超音速機の実現に直結するプロジェクトで、試験データは今年のICAO(国際民間航空機関)総会に報告されます。
ソニックブームは主に機体の先端と後端から出る衝撃波ですが、D-SEND#2では世界で初めて、この2つの衝撃波を同時に低減できることを実証。しかも、JAXAでは「仮に今回の結果をコンコルドに適用した場合、ソニックブームはおよそ1/2に低減可能。50人規模の小型超音速旅客機に適用した場合には、コンコルドの1/4に低減可能」と成果をまとめています。
当然、超音速旅客機のソニックブームに関する国際基準策定に向けて、D-SEND#2がベンチマークとなるのは確実。わが国が国際基準づくりのイニシアチブを握れるわけで、世界の航空宇宙産業の発展と地球環境保全、双方に貢献できます。今後の、国際協調による超音速旅客機の実用化でも、優位なポジションに立てることでしょう。
こうした観点からも、SUBARUがプライムメーカーを務めたD-SEND#2は、きわめて重要な意義を持つ国家プロジェクトであると、私たちは誇りに思っています。

D-SEND#2には、当社からのべ50人以上のエンジニアが関わりました。
うち20名ほどが2013年から15年まで、毎年夏にスウェーデンで行われた実証試験に参画。第1回の飛行異常、第2回の天候による延期、2度のトラブルを乗り超えて、15年の第3回を成功に導く一翼を担いました。
実験が行われたのは、広大な自然が広がる北欧の地。地上30km上空、宇宙に近い空間までバルーンで機体を浮上させて切り離し、想定したルートを通って着地させます。あらゆる状況を想定して準備しますが、実験できるのは一回のぶっつけ本番。気象条件にかなり左右されます。実験当日はプロジェクト全員が祈りながら、実験機の行方を見守りました。
SUBARUでは伝統的に、重要なプロジェクトに若手を参加させて、人材育成に活かしています。私もそうでしたが、航空機をつくって飛ばして実証するトライアルほど技術者が成長できる体験はないからです。若い人はスキルや経験が少ないぶん、必ず壁にぶつかります。でも、どんな難関に直面しても、自分の空飛ぶこころに火をつけて、へこたれずに挑戦を続けています。難しいし、失敗もあるからこそ、初飛行を目の当たりにできた時の喜びは言葉では表せません。
現在、新型ヘリコプターの開発をはじめ、私たちは次の新たなプロジェクトを進めています。これからキャリア入社される皆さんにも、D-SEND#2のような「空飛ぶこころが躍る機会」を用意できると、私は自信を持っています。
航空機が好き、航空機をつくりたい、という方であれば、経験は問いません。ぜひSUBARUでともに航空機をつくりましょう!
うち20名ほどが2013年から15年まで、毎年夏にスウェーデンで行われた実証試験に参画。第1回の飛行異常、第2回の天候による延期、2度のトラブルを乗り超えて、15年の第3回を成功に導く一翼を担いました。
実験が行われたのは、広大な自然が広がる北欧の地。地上30km上空、宇宙に近い空間までバルーンで機体を浮上させて切り離し、想定したルートを通って着地させます。あらゆる状況を想定して準備しますが、実験できるのは一回のぶっつけ本番。気象条件にかなり左右されます。実験当日はプロジェクト全員が祈りながら、実験機の行方を見守りました。
SUBARUでは伝統的に、重要なプロジェクトに若手を参加させて、人材育成に活かしています。私もそうでしたが、航空機をつくって飛ばして実証するトライアルほど技術者が成長できる体験はないからです。若い人はスキルや経験が少ないぶん、必ず壁にぶつかります。でも、どんな難関に直面しても、自分の空飛ぶこころに火をつけて、へこたれずに挑戦を続けています。難しいし、失敗もあるからこそ、初飛行を目の当たりにできた時の喜びは言葉では表せません。
現在、新型ヘリコプターの開発をはじめ、私たちは次の新たなプロジェクトを進めています。これからキャリア入社される皆さんにも、D-SEND#2のような「空飛ぶこころが躍る機会」を用意できると、私は自信を持っています。
航空機が好き、航空機をつくりたい、という方であれば、経験は問いません。ぜひSUBARUでともに航空機をつくりましょう!
※ 役職・記事内容等は、取材当時のものです。