終わりない半導体の進歩には、
エッチング装置の進化が必要不可欠になる。

より便利に、より快適に、社会が進化することは、半導体が進化することでもあります。PC、モバイル、クラウド、IoT、5Gなど、新しいテクノロジーの始まりには半導体が欠かせない。微細化をひたすら追求してきた半導体は今、3DNAND型フラッシュメモリ(※1)などの新しい構造や技術によって技術の難易度がさらに上がっています。

3DNAND型フラッシュメモリは3次元構造になっており、従来のNAND型フラッシュメモリを垂直方向に積層しています。半導体材料の上にデータを格納するメモリセル(※2)が水平方向に縦横に並んでいたものを何枚も重ね、面積を維持または縮小しメモリセルの数を増やして大容量化を実現する技術です。

3次元構造になったため求められる加工の精度や難易度もはるかに高くなり、高アスペクト比の加工を実現する技術として、プラズマによるエッチングの重要性はますます大きなものになっています。

半導体デバイスメーカーから新しい構造・工程の要望が上がってきた際に、エッチングが技術革新することで新しいデバイス技術へと直結する。そんな状況だと言っても過言ではありません。

3DNAND型フラッシュメモリの例のように、半導体の進化には終わりがありません。将来的には完全な自動運転や、日常生活のなかでAIによるサポートが当たり前になるような、映画でしか見たことがなかったような世界も実現しているかもしれません。そのためには、微細化の追求だけではない新しい技術・構造が必要になっています。それを実現するためのエッチングの技術革新は続くでしょうから、シェアや技術的にも大きな伸びしろのあるプロダクトだと思います。

世界シェアNo.1を目指して、
性能を追求した先に提供できる価値をストーリー化する。

装置の性能を上げていくことは大前提ですが、それだけでビジネスがうまくいくわけではありません。必要なのは性能を上げた装置によって、お客様がなにを実現できるのかというストーリー。5年後、10年後の未来を予測したロードマップを常に更新しながら、技術戦略・装置戦略・プロセス戦略を実現していく必要があります。お客様自身も10年後に必要なデバイス構造・工程は曖昧な場合もあります。世の中の動向を見ながら、どのような材料や構造が必要なのか、様々な選択肢を用意して戦略の種を蒔いていく。そして、そういった動きとは別に、お客様が本当に困っていることに応えていくことも必要です。密に連携して信頼関係を築くことが、新しい技術を提案していくことにもつながっていきます。

例えば、近年、急激に上昇したデバイスコストの問題があります。3DNAND型フラッシュメモリであれば、縦に深い構造でエッチングに時間がかかります。結果、装置の処理時間は長くなり、それをカバーするために装置の台数は増え、費用対効果は悪くなってしまう。コスト、生産性、ファブ(※3)のスペース、ウェハーの処理時間など、様々な要因がお客様を悩ませています。それらを解決しながら、エッチングに関わるガス、プラズマ、温度制御などの様々なパラメーターを安定的に長く使うことが可能な装置をいかに開発するかが、お客様のデバイスコストを下げるために必要となっています。

装置自体のインテリジェント化は、その答えのひとつ。お客様の生産データやモノづくりの各工程で出たビッグデータの活用により、新規装置の立ち上げ時、クリーニング後、量産稼働時といった場面で正常かどうか人を介さずに装置がチェックしてキーとなるパラメーターをコントロールする。今までエンジニアの熟練の技に頼っていた部分を、データ活用による可視化でポイントを絞って対処する。装置からのデータやナレッジを蓄積していくことで、そういったことも可能になります。データ活用によって、お客様のデバイス構造によって異なっている工程や性能を管理・制御できれば、多くの問題を解決していくことにつながります。

チャレンジして、失敗から学ぶことが許される環境。

意見を自由に言える、疑問に思ったことは誰にでもすぐに聞ける。そんな自由な風土は私が入社したころから変わっていません。私も若いころは生意気なことを随分言いましたが、仕事に真剣に向き合っていれば話を聞いてもらえる環境でした。上司や部下の垣根も低く、名前を呼ぶときも役職ではなく「さん」付けです。私も今の立場になっても、わからない技術分野があれば部下に気軽に声をかけて教えてもらっています。

そんな自由な社風のなかで、とにかくチャレンジすることを評価する文化がありますね。自ら手を挙げることで責任感も生まれてきますし、結果、失敗してもそれを糧にリカバリーすればいいという考えがあります。成功体験も大切ですが、同じくらい失敗体験も大切です。常に自分の考え・意見を発信して、しっかり伝えていくことができますから、そういった働き方がしたい方にはやりがいを感じてもらえると思います。

また、東京エレクトロングループの取引は約8割が海外のお客様。東京エレクトロン宮城では、現地に常駐するプロセス開発だけではなく装置開発にも韓国、台湾、アメリカなどのエンジニアが常駐、または採用し、職場は常にワールドワイドな環境です。色々な考えを持つ人材が集まり、アイデアを出し合って仕事を進めていける多様性という面でも面白い働き方ができるのではないでしょうか。

転職活動中の方へメッセージ

半導体関連の経験や知識のあるなしに関わらず、自分の意見を積極的に発信してチャレンジをしていく。そんな姿勢で仕事に取り組んでもらえればと思っています。失敗には寛大な環境ですから、未経験の方はそこから学んで頂ければ問題ありません。経験がある方はベースとなるものがありますから、今までの知見を活かしながらイノベーティブな仕事に取り組んでいってもらいたいですね。

私は半導体はこれからもなくなることはなく、必ず進歩していくと考えています。エッチング装置開発ならエンジニアとして、様々なことに挑戦することができると思いますよ。

Profile

専務執行役員 日向/
1991年新卒入社

工学部応用化学科卒。入社後はプロセスエンジニアとなる。プロセス開発だけではなくハードウェアの開発や改良にも携わり、主力装置のプロジェクトリーダーやアメリカ、韓国で数年間の海外勤務も経験。東京エレクトロン宮城の立ち上げと同時に初期メンバーとして山梨より異動し、2018年より現職。

  • ※1 コンパクトフラッシュ、SDメモリーカード、スマートメディア、メモリースティックといった製品として利用されている記憶媒体。
  • ※2 半導体メモリにおける1ビットの情報を保持するために必要な回路構成。
  • ※3 ファウンドリーの略。半導体集積回路の生産を専門に行う企業や工場のこと。